第2章目指せ、つばさレディ!
◆大切な友人
私にはゆうこちゃんという、幼馴染の友人がいました。最初に会ったのは幼稚園のとき。ゆうこちゃんが我が家の向かいに引っ越してきたのです。そして、同い年だった私とゆうこちゃんはすぐに仲良くなり、一番の友達になりました。
ゆうこちゃんは妹がいたこともあり、とてもしっかりした子でした。一緒にいても「何して遊ぶ?」と聞けば、あとは全部ゆうこちゃんが決めてくれます。身体も小さく引っ込み思案だった私にとって、ゆうこちゃんは同い年ながら頼れるお姉さんのような存在でした。
また、どちらの家も両親が共働きだったので、幼稚園や学校が終わるとよく互いの家へ行って遊んでいたことを憶えています。
高校からは別の学校になりましたが、それでも親交はは続き、よく電話したり遊んだりしていました。しっかり者のゆうこちゃんは、私と違い高校卒業後はすぐに就職して社会人になりました。
ゆうこちゃんが社会人になって1年目の冬。私はやっと今の仕事を始めたばかりで、毎日一生懸命新幹線に乗っていた頃のことです。あと数日で初めてのボーナスがもらえると、ゆうこちゃんは電話で嬉しそうに話していました。
その電話の翌日、ゆうこちゃんは交通事故で亡くなりました。
ちょうどそのとき私は新幹線に乗っていて、母親から携帯にかかってきた電話でゆうこちゃんの死を知りました。昨日電話で話したばかりのゆうこちゃんが死んだなんて、そんなこと信じられない・・・。下りの新幹線に乗っていたので山形についてすぐにゆうこちゃんの家へ向かいました。
私はそれまで、身近な人の死を経験したことはありませんでした。大切な人が死ぬということはどういうことなのか、考えたこともないほど私もゆうこちゃんも若かったのです。
ゆうこちゃんの家では、妹が大きな声をあげて泣いていました。となりでご両親、おじいちゃんおばあちゃんも泣いています。娘を失った親の姿が悲しすぎて、私はそのときやっと「本当にゆうこちゃんは死んでしまったんだ・・・・」と実感しました。
「これまで私は、大人に反抗して何でもわかっているつもりでいた。でも、実は何もわかっていなかったんじゃないか。こんなにも命は儚いのに人ってもっともっとすごいのに、何も知らないで反抗していたんじゃないか。私はゆうこちゃんのぶんまで一生懸命やっていこう。一生懸命に生きていかなくちゃいけないんだ」
ゆうこちゃんの死で、私はそんな覚悟を決めました。友人の早すぎる死は、私にとってとてもつらいことでした。でもそこで、「強くならなくてはいけない」という使命のようなものを感じたのです。
この仕事を始めてから、たくさんの困難やつらいことがありました。そんなとき、「私にはゆうこちゃんがついてくれている。だから大丈夫」と思って乗り越えてきました。もう一緒に年を取ることはできないけれど、私にとってゆうこちゃんはずっと大切な親友です。
だから、私はがんばって生きるよ。