【買わねぐていいんだ。】16話 「突然、新幹線に乗れなくなった!」

第三章 買ってあげたいと思われる人になりなさい

突然、新幹線に乗れなくなった!

 実は22歳の時、突然、新幹線に乗ることができなくなってしまったことがありました。新幹線に乗ることが楽しくて、同時に売り上げもどんどんと上がっていった頃なのに、なぜか急に、新幹線に乗ることにプレッシャーを感じるようになってしまったのです。
 きっといろいろなことに疲れていた時期だったのでしょう。こういったスランプは、社会人になって3年目ぐらいの時期に陥りやすいと聞いたことがあります。

 それは本当に、突然やってきました。ある日の夕方4時頃の新幹線に乗車しょうとしたとき、新幹線を見た瞬間に突然、涙がポロポロと止まらなくなってきたのです。もちろん私は新幹線に乗るつもりでホームに立っている。でも、どうしても新幹線に乗ることができない・・・・。
 その場は別の販売員が代わりに業務についてきてくれて、「まず、ちょっと休みなさい」と支店長に促されて事務所へ戻ることに。止まらない涙に自分自身驚きながらも、「新幹線に乗れなかった。なんてことをしてしまったのだろう」と自責の念が襲ってきます。しかし支店長はそんな私を叱るでもなく、「なんか悩みでもあるのか」と優しく聞いてくれました。
 最初は「別にねーずー」と突っぱねながらも、そのときに抱えていたさまざまな悩みを少しづつ打ち明けていきました。恋愛のことや友達のこと、落ちこぼれだった昔の自分の話・・・。
「自分、あんまりできなかったけー。だから仕事するようになって、支店長に褒められたときはすごく嬉しかったんだあ」
 私がそう話したとき、突然支店長もブワーと泣き出したのです。「がんばれ、がんばれ」といいながら、私と一緒に泣いてくれました。
 そして支店長も「誰にも言えなかったことなんだ」といいながら、自分の悩みを話してくれたのです。それまで見せなかった人間としての弱い部分を見せてくれながら、一緒に泣いてくれたーーーーー。そのことが何よりも嬉しく思いました。
 たっぷりと話を聞いてもらい、ふたりで気が済むまで泣いたあと、私はまた新幹線に乗ることができるようになりました。自分のなかで消化できなかったこと、いつのまにか蓄積されていたものを、支店長は受け止めてくれたのでした。