【買わねぐていいんだ。】常連さんの推薦で「ミス将棋」の女王に!

 私が生まれ育った山形県天童市は、江戸時代の昔から将棋駒の名産地として知られています。街のいたるところに将棋駒のモニュメントがあり、将棋駒にちなんだイベントなども毎年開催されています。
 そんななかで、将棋駒などの名産や天童市をPRするために、毎年行われているのが、「ミス駒の女王」というコンテスト。そして、4月に行われるコンテストで選ばれた女性は、その一年間、さまざまな場でPR活動を行っていくのです。

 ある日、いつものように新幹線に乗務していると、よく見知った常連のお客さまからお声を掛けられました。
「茂木さん、ちょっとこれ書いておいてよ。あと、この日休み取っておいて!」
 渡されたのは履歴書。「何だろうな~」と思いながら言われるままに書き、休みの日にはなぜか写真撮影。常連さんの行動から、「ん?これは何かに応募するんだな」ということが薄々わかってきました・・・。そして「この日、この会場にきてね」といわれ、両親に車で送ってもらうと、何とそこは「ミス将棋の女王」のコンテスト会場!
まさかそんなコンテストだったとは思わず、何の準備もしないままの参加。どうせ選ばれないだろうと思い、送ってくれた両親にも「たぶん1時間もしないで戻ってくるから、ちょっと駅前で待ってて」といって会場へ向かいました。
 ところが1時間どころか2時間待っても私は戻ってきません。「まったく、何やってんだ!」とカンカンになった頃に帰ってきた私を見て、両親はびっくり仰天!(気持ち的には)飛び入り参加だったのに、見事「ミス将棋の女王」に選ばれてしまい、花束をもって戻ってきたからです。
 第24代「ミス将棋の女王」に選ばれた私は、その後の1年間を天童市のPRレディとして活動してきました。テレビの取材に答えたり、観光イベントに参加したりと、普段経験できないことをさせてもらい、とても楽しかったのを憶えています。
 それもこれも、あのときの常連さんのおせっかいがあればこそ。常連さんの期待にも応えることができ、よい経験をさせてもらえたことに感謝しています。